弥山の七不思議

 大聖院は、今から約一、二〇〇年前(大同元年・八〇六年)に霊峰弥山において、弘法大師空海によって開かれたお寺です。
 霊山には不思議なことが多いのですが、弥山にも昔から「弥山の七不思議」として、七つの霊奇が語り伝えられています。

 
一、きえずの火
大師が修法された護摩の火が、千二百年に及ぶ今日まで消えることなく燃え続けている霊火で、消えたように見えても必ず火の種は残っており、木を寄せれば自然に燃えてくる不思議な火で、この火によって沸かされた大茶釜の湯茶をいただけば、万病に効あるといわれています。

 
二、曼荼羅岩
求聞持堂下、数十丈の平らな盤石面に、大師が刻み込まれたという霊なる岩で、中央に「三世諸仏天照大神宮正八幡三千七百余座」の真字と、頭部と両側に三十余の梵字が刻み込まれています。

 
三、錫杖の梅
本堂横にある八重紅梅で、大師登山の時、お持ちの錫杖を突き立てておかれたのが根を張り、生きついて、当山の吉凶を伝える不思議な梅と言われています。

 
四、千満岩
弥山頂上から大日堂に下る間にある大岩石に一個の小さな穴があって、穴の中の水が満潮の時には溢れ、干潮の時には乾く不思議な石で、海水と同じく、水に塩分を含み、塩の干潮により作用するので、干満岩というのであります。

 
五、時雨の桜
求聞持堂付近にあった数本の桜のことで、葉桜の頃より晴天でも時雨の如く露が落ち、地面が濡れるので不思議な桜だと言われていましたが、現在は枯れて、株だけが残っています。

 
六、龍燈の火
旧正月六日、年越祭の夜、頂上にある大杉の付近から眺めると、海上に無数の不思議な灯火が浮かぶと言われ、最もよく見える頂上の大杉を龍燈杉といいます。

 
七、拍子木の音
夜中に、人がいないのに、何処からともなく拍子木を打つ音が聞こえるので、これは天狗のしわざだろうと不思議がられている音であります。その音は、耳底に通る厳しさであると言われています。(消えずの火)

第十四番札所(広島県宮島町  大聖院 住職 吉 田 正 裕