
| 目のお薬師さま |
| 今からおよそ千百年前、一畑寺の麓、坂村の漁師・与市(よいち)は盲目の母親と二人で暮らしておりました。ある日、漁をしていると海中に光るものが見えます。不思議に思って舟を進めると、それは大きな仏さまでした。与市は、すぐに海中より引き上げ家に持ち帰りました。その後、次々と不思議なことが起こるようになりました。 ある日、旅の僧をお泊めします。僧はじっと仏さまを拝んでおりましたが、やがて、これは薬師如来という仏さまであること、一日も早く聖地を見つけてお祀りすることを告げ、消えるように旅立ちました。その後、与市は夢に如来のお告げを受けます。「親孝行に免じて、母親の目を開けてやろう。あの百丈が瀧から飛び降りるがよい。」 母親の眼病を治すため、与市は千把の藁(わら)を身にまとい、崖から飛び降りようとします。村人はこれをなだめ、母親もこれを聞き、何とか思いとどめさせようと無我夢中で走り出しました。 「えーいっ」果たして与市は飛び降りました。千把の藁はバラバラになって転げ落ちてゆきました。気がついてみると、大きな石の上に安座した与市の体に怪我はなく、我が子の身を案じて駆け寄った母親の目はしっかりと開いておりました。この最初の縁起によって、霊験あらたかな「目のお薬師さま」として広く信仰され親しまれるようになりました。 |
| 第26番札所(島根県出雲市) 医王山 一畑寺 |