
| 開山様と竜 |
| 田植えを終えたばかりの田んぼは美しく、苗と苗の間の水面は鏡のようで、空や山や家並みが映っています。青い空と新緑の稜線のはっきりした実像に比べ、水面に映る山や空は、ぼんやりとしてどこかこの世のものではないようで、視界の上下を二分割し、あの世とこの世を見ているような気持ちになる、美しい日本の原風景です。昔から日本は水に囲まれ、水と共に生き、水と戦ってきました。 当山の歴史の最初に登場するのも「水」です。開山・孤峰覚明禅師(三光国師)がこの地に寺を建立する事をお決めになった時、そこには「千歳の沼」という大きな沼がありました。まず手始めに沼を埋め立てる為に浮き道を作りましたが、それを快く思わぬものがおりました。沼の主の竜です。怒った竜は三日三晩大雨を降らせましたが、そんな事で開山様の決意が揺らぐはずもなく、竜は開山様の法力に負け、沼を出て行きました。逃げる際に竜は山裾を削り水が抜け、沼は一夜にして美田となりました。 当山から清水寺に向かう道の小さな坂は、現在も「蛇の越し」と呼ばれ、そこを流れる小さな川を「切り抜き」といい、浮き道は参道となっています。 この道をお通りになる際は、是非思い起こして下さいませ。 |
| 第27番札所(島根県安来市) 瑞塔山 雲樹寺 |