
| 大納言杉ー弟子へのいましめー |
| 昔、大山寺に大納言という小僧がいました。性格はわがままでずるく、修行の為に道場に入ってもあぐらをかいてお経を読んだり、怠けて横になって眠ったりして、その振る舞いは神仏の恐れを知らない者のようでした。 ある時、いつものように修行を怠けて寝ていると、不動明王が持っている剣で自分を刺そうとしている姿を、ぼんやりした意識の中で見て肝をつぶしました。見直すと壇上の不動明王のいかめしいお顔がふつうではないようです。それを見ると大納言は怒りがこみ上げてこぶしで明王を叩き、麻縄でぐるぐる巻きに縛ってしまいました。 その日の昼下がり、大納言が絶壁の下で閼伽水(仏様におそなえする水)を汲もうとしたところ、頭上に怪物があらわれ、雷が落ちて天地が砕けたような音がしたとたん、大納言の体は軽々と持ち上げられ大杉のてっぺんに宙吊りにされて謎の怪物は消えてしまいました。その後、大納言は大杉からおろされて、心を入れかえて修行に励みました。 以来この吊るされていた高さ四十五m、周囲六mの大杉を誰もが「大納言杉」と呼ぶようになり、この場所は不動明王が大納言のような暴れ者や大山寺の悪僧たちをこらしめると言われ、大山寺の僧が最も恐れる場所になりました。 この事があってから大山寺では弟子に大納言という名前は付けません。小僧さんに入り、僧として始めて修行の出来る頃になると、寺の住職たちはこの大納言杉の話をしました。そして悪い事をしないようにいましめて、しっかり勉強するように教えたと言います。 |
| 第二十九番札所(鳥取県大山町) 角磐山 大山寺 |