
| 誕生寺婆アが来たぞ さぁ春がやってくる!! |
ここ美作誕生寺では春になりますと「会式」と呼ばれています法要が行われます。日本三大練供養の一つといわれる『二十五菩薩練供養』が有名です。 この法要は、浄土宗の開祖・法然上人の御両親様の追善供養で、この日は浄土宗信徒はもちろん全国から数万の参拝者で賑わいます。 また誕生寺は毎年二月十九日から二十四日まで檀信徒共に毎夜本堂で「御忌会」の別時念仏を修します。「御忌」とは法然上人の忌日の法要のことです。 御忌を迎えます時は、必ずといってもいい程、寒波がまいります。北国の寺院のこと、充分な暖房設備がされてはいない。ストーブだけの本堂内は参拝者にとっては耐え難いことしばしばです。 この辺りでは御忌期間の、大変に寒い日を「誕生寺婆アーがやって来た」と昔から言われています。(※御忌婆さんとも言われる) そのいわれは定かではありませんが、幼い我が子・勢至丸(法然さま)を手放された母、泰氏君、叡山の我が子の安否を想いつつ若き身をもって病没された母は、のちに誕生寺の御忌が来ると、母は那岐山霊の神体をかり大蛇と化して御本尊の法然さまに逢いに来るのだと言われます。 その時、吹き荒れる寒風を「誕生寺婆アーが荒れる」と言われる説があります。やがて御忌も終わり誕生寺婆アーが去ってゆくと、作州地方は暖かい春を迎える事となるのです。誕生寺もいよいよお会式の準備にとりかかります。 「誕生寺婆アー」 法然上人の母君を敬愛する人たちにとっては決して心地よい響きとはいえません。しかし、里人たちはこの母の哀しい愛のこころをおもいやり、新しい季節を呼びさます春一番をこの様に呼ぶようになったのだと考えれば、作州に伝わる心安らぎ一民話として受け取れるのではないでしょうか。合掌 |
| 特別霊場(岡山県久米南町) 栃社山 誕生寺 住職 漆 間 徳 然 |