日本・中国共同事業順調に進行中!

  二十一世紀幕開けの今、中華人民共和国の観音聖地普陀山で日中共同の大事業が推められている。千百年昔、普陀山の開祖である日本僧・恵鍔大師が最初に上陸した、最も重要な浄域に、当、中国観音霊場の各札所寺院のご本尊を模した三十七体の石像を安置する事業である。しかも三百年後には文化財に指定される事を想定し、中国最高の技術をもって建立しようというのだ。
  中国は貧しいという私達のイメージは、少なくとも普陀山には当てはまらない。公表されているだけでも、十三平方キロに満たないこの小島の仏教協定の年間の予算が、日本人の貨幣価値に換算して三百億円以上であるという。
  しかし、経済的な裏付けがあれば即、可能というものではない。社会主義国中国においては、外国との交流事業には政府のさまざまな制約が架せられる。その上、普陀山は重点風景地区に位置するからやっかいだ。
  紆余曲折はあったが、民間のこれほど大規模な交流事業が許可されるには背景がある。十年におよぶ友好交流という実績である。「日本の中国観音霊場と、中国の観音霊場が交流するのは奇縁だ。」ということで始まったが、この間、当霊場会は五百人以上の交流団を派遣し、普陀山から三度の代表団を招請した。
  相互の信頼感が増すにつれて当初の事業計画は段々と拡大し、最終的には当霊場会に倍する巨費が普陀山側から投じられる事になったことを特筆したい。
  古い観音堂や蛇行した黄色の長い立派な塀が取り払われ、周辺は地形が変わるほどの造成工事が夜を徹して進行している。庭園まで含めた全体が完成するのは来春だが、今年十一月十四日には大交流団を派遣し、三十七体の観音石像が日中合同法要で開眼される運びだ。
  ここまで辿り着けたのは、偏に観音様のご加護と恵鍔大使のお導きである事は云うまでもないが、日本の二千名に及ぶ観音信者に貴い浄財をお寄せ頂いた事を忘れてはならない。この事業に深いご理解と、物心両面に亘るお力添えを頂いた皆様に衷心より厚く御礼申し上げます。

中国観音霊場開創二十周年記念事業 実行委員会 坪井全広(西大寺)