本年は、中国観音霊場会が普陀山との交流を始めてから丁度十年目の訪問でした。また、中国観音霊場会設立二十周年を翌年に控え、まもなく普陀山の紫竹林という場所に私たち三十七ヶ寺の観音菩薩石像を奉納建立するという大切な時期の訪問でもありました。
 参加者は三十五名に達し、出発は広島空港と岡山空港と分かれねばならないほどの盛況ぶりでした。人数は多かったのですが、参加者の皆様が大変協力的でお互いに調和し、始終和やかな雰囲気で巡拝が出来ましたことを何よりも嬉しく思います。今年は島根県が担当で、事務局として第二十八番札所の雲樹寺様にお世話いただきました。副団長は第二番札所・餘慶寺様、顧問として第一番札所の西大寺様、そして那須先達会長様にも大変お世話になり、不肖団長を支えていただきました。私自身、初めての普陀山、もちろん初めての団長ということで、何かと至らずご迷惑をおかけしましたが、実に貴重な体験をさせて戴くことができました。本年の特徴は「台風普陀山直撃!」、しかしながら「ついに普陀山を参拝!」です。大いに困惑しましたが、とても心温まる五泊六日の旅でした。
 台風を避けるため、予定をまるっきり反対にして北京観光二泊を先に済ませました。そして、最後の可能性に賭けるが如く、寧波のフェリー乗り場でギリギリまで待ち続けました。船が来ない。普陀山はもうそこなのに。幾度となく島の方を見つめました。まだ来ないのか?きっと慧鍔大使もこんなではなかったかと、ついつい思わざるを得ない状況です。我々ももしかしたらこのまま日本に帰ることができなくなるかも知れない、なんて感じたのはけっして私一人ではなかったでしょう。
 しかしながら、待つこと半日、ついに土壇場で願いは叶いました。船が来ました。観音様のご加護のもと、無事に普陀山の土を踏むことができたのです。滞在わずか数時間。記念の合同法要、戒忍法師始め普陀山の方々との会食、駆け足で諸堂伽藍の参拝、写経奉納。ともかく目的を果たし、清々しい気持ちで島を後にしました。
 その間けっして普陀山への望みを捨てず、三十五名の団体を導いてくれたオフィス華林の皆さん、スタッフの皆さん本当にお世話になりました。
 いや、こんなに大変だったからこそ、かえってとても心に残る温かい巡拝になりました。そして、参加者の皆さんの絶大なるご協力と親睦こそが何よりも素晴らしくありがたかったです。あらためて心より御礼を申し上げます。