
| 「ワニブチ」謂れ |
| 日本中には沢山のお寺がある。そして、その中には同じ名の寺も沢山ある。しかし「鰐淵」と云う変わった寺名はない。大体、魚のつく名の寺は殆どない。ないのが当然かもしれないが。京都三千院は魚山と云う。中国から伝えた名だと云うが、これも少ない。 鰐淵寺を開かれた智春上人は浮浪滝で修行を積んでおられた。滝だから滝つぼがある。そこで朝な夕なのお供えの佛器を洗っておられたところ、手を滑らして滝つぼに落としてしまわれた。現在は底に土砂が積って浅くなっているが、明治時代、百年前には相当深かった。今は亡き古老連が「我々の青年団の時、雨乞いに滝つぼを掘らせられた。非常に深く苦労した」とよく話していたが、上人の奈良時代には、そんなものでなく、その底は大社と日御崎との間の中山と云う所の海に届いていた。常に潮水が滝つぼに入り、川は塩分があったと伝えられている。 そんな深い所に落した佛器はとても拾い上げることが出来ず、上人は非常に困っておられた。その時、にわかに淵がざわめき、大きな鰐が突然淵の底から浮かび上がり、落された佛器を腮にかけて上人に捧げ奉った。これが寺名の由来である。この名は冒頭日本中と書いたが、世界中の寺を探しても見つからないかも知れない。 尚、余談になるが、鰐淵と云う姓も少ない北陸に多いと云うが、鰐淵寺とどんな関係があるかは知られていない。 |
| 第25番札所(島根県出雲市) 浮浪山 一乗院 鰐淵寺 |